健康寿命の鍵を握る「命のロウソク」”テロメア”とは

テロメアの「テロ」はギリシア語で「末端」を意味し「メア」は「部分」を意味します。テロメアは、この2つを組み合わせた単語です

染色体の末端にあるテロメアは、細胞の寿命に関与しているといわれています

テロメアは、加齢に伴い短縮します。この、テロメアの短縮がエイジングに関連していると関心が集まりました

テロメアとは

テロメアは、1938年ハーマン・J・マラーと1939年バーバラ・マクリントックにより「染色体の末端を保護する染色体の要素」と報告されました

テロメアは、染色体の末端にあり細胞分裂を重ねるごとに短くなります。細胞が分裂する毎に、まるで「ロウソクのように少しずつ短くなる」事で”命のローソク“と呼ばれたりします。他にも「生命の回数券」や「寿命の回数券」などと言われます

私たちの体は、細胞分裂を繰り返して入れ代わり続けています

この細胞分裂に深く関わっているのが、染色体の端にある”テロメア”です

染色体は、ゲノムDNAにヒストン※1などのタンパク質が付き小さく折りたたまれたものです

DNAには、4種類の塩基に遺伝情報が書き込まれています

※1ヒストンとは核に存在する塩基性のタンパク質

▼4種類の塩基

  • A:アデニン
  • T:チミン
  • G:グアニン
  • C:シトシン

DNAの上には、この4種類の塩基があります。その並び方によ理、すべての遺伝情報が伝えられます

哺乳類のDNAの末端部分は「TTAGGG」という6個の塩基がセットになっていて、これがいくつも続く形になっているます

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この6塩基のリピート部分がテロメアになります

細胞分裂の際に、DNAがコピーされるますが完全にコピーすることはできなくて、末端の部分だけ欠けてしまいます。この欠けた部分がテロメアです

染色体は、細胞分裂する度に末端部分のテロメアが欠けて短くなる事になります

テロメアは、ある一定以上にの短さになると「細胞は分裂」を行わなくなります

厳密には、テロメアは細胞分裂のたびに短くなるのではなく「テロメラーゼ」と呼ばれる酵素により伸張が行われます。テロメラーゼがない細胞が、細胞分裂のたびにテロメアが短くなるのです

細胞の寿命は、遺伝情報が入っている染色体の末端にあるテロメアの短縮が関与しています

逆に、テロメアの短縮を抑制することで「細胞の寿命」を長くする効果が期待できます

テロメアの長さで寿命がわかる!?

私たちは、あと何年くらい生きられるのでしょうか?

これは、テロメアを見るとわかります

テロメア が全てなくなってしまうと、細胞はアポトーシス(自己死)してしまいます。「もう生きていけない」つまり分裂できなくなると自分で死んでしまうのです

テロメア検査を行っているクリニックもあります

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自分の寿命が分かってしまうのは、なんだか怖いような気がします

テロメア検査で、偶発的な事故などを除いてある程度の寿命を予測することが可能です

可能ですが、テロメアの長さを計ることは「倫理的」に可否を問われています

また、近年テロメアの長さと癌の発症について、関係性があるとされています

癌は、テロメアが「遺伝子異常」を起こして破壊された状態です。通常の分裂ではなく、永遠に細胞分裂を続けてしまいます

癌細胞は、栄養を与えておくと永遠に生きます。癌細胞は死なないのです

テロメアはどんどん短くなってしまうのかというと、そうでもないんです

これは、研究結果から「生活習慣」によりテロメアが伸びることが分かってきました

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近年、日照リズムを支配する”時計遺伝子”との関係性も分かってきました

時計遺伝子が狂うとテロメアも影響を受けます。このことから、疾病の発症や寿命短縮につながると考えられています

日頃の、食事・睡眠・運動などが病気や寿命につながります

テロメアの研究は、健康寿命で人生を過ごせるよう、改めて生活習慣の大切さを私たちに問いかけています