病気になってからでは遅い!未病とは?

2019年の日本人の平均寿命は「男性が81.41歳」で「女性が87.45歳」と男女ともに過去最高を更新しています。

参考:厚生労働省の簡易生命表

うれしい結果ではありますが、これは健康で長生きだった場合の話です。

人生100年時代の到来が叫ばれる中、医療や介護にかからず自立した生活ができる「健康寿命」の延伸は社会的な課題です。

健康寿命とは

健康寿命は、2000年にWHO(世界保健機関)が提唱し「健康上の問題で日常生活が制限されることなく生活できる期間」と定義されています。

平均寿命
0歳時における平均余命」のこと
健康寿命

介護を必要としないで、健康で日常生活に制限がない期間のこと

平均寿命と健康寿命の差が「生活に支障が出る期間」ということになります。

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平均寿命ー健康寿命=不健康な期間ということです!

同じ長生きでも健康で長生きの方がいいですよね!

予防医学とは

予防医学とは、がんや血管障害による病気で死に至る人が多いため、これらを防ぐことを目的として考えられた学問です。

単純にそれらの病気のリスクを抑えるだけではありません。

「より健康的に」「より長生きできるように」生活習慣を見直すということも、予防医学の目的です。

第一次予防
休養といった「健康増進」「感染症対策」を行う疾病予防の2つが挙げられます。
生活に適度な運動を取り入れることも「病気」や「怪我」を予防する有効な方法といえます。
第二次予防
病気を早期発見し適切な治療を受け、重篤化を防ぐことです。
第三次予防
既に発症した病気の再発を防ぐことをいいます。具体的には、保健指導やリハビリテーションが挙げられます。
私たちの体は、加齢により少しずつ老化や疲労が蓄積していきます。
また、回復力も低下します。
病気になったり、怪我をしてから病院で治療をするのでは遅いのです。
いつまでも健康でいるために「病気」や「怪我」を防ぐため予めメンテナンスをしておくことが大切といえます。

未病とは

人の健康状態は、健康と病気というように明確に分けることはできません。

健康と病気の間で連続的に変化している状態を”未病といいます。

機 能 健 康 未 病 病 気
糖代謝 基準血糖値 血糖値上昇 糖尿病
脂質代謝 基準脂質値 高脂血症・動脈硬化 心筋梗塞・脳梗塞

▼西洋医学的未病

自覚症状はないが、健康診断の検査値が悪化している。

▼東洋医学的未病

なんとなく具合が悪いが、検査をしても異常がない。

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この未病のコントロールの仕方で、老化の個人差が生じて寿命の相違につながります。

加齢に伴い、複数の未病が絡み合ってきます。

未病を治すとは、特定の病気になってから治療を開始することではありません。

普段の生活において、心身の状態を整えてより健康な状態に少しでも近づけることを言います。

予防と未病の違い

従来の治療
病気になってから行う

症状が出て病気であることがわかる状態。治療は医師

予 防
◎健康な状態で行う
健康健康な状態から自らの体調を保持しようと運動やサプリメントを飲んだりすること
未 病
◎未病を見つけて治療し健康な状態に戻す

予防は、個別具体的な疾患の発症を防ぐことです。

未病は、特定の病気を予防 するのではなく心身全体をより健康な状態に近づけることが大きな違いになります。

予 防 未 病
 

概 念

 

特定の疾病を対象

特定の疾患予防だけではなく体全体の状態を最適化する

人の健康状態を体全体 で捉える

状 態

連続的に変化する体の 状態を示す

行 為

特定の病気にならないようにする

 自身の状態を全体として最適化する

未病を防ぐ

 

▼未病第一段階

①健康とまではいかないが、好きなものを食べることができて身体を動かすことが出来る

②医師から処方された薬を飲んでいるが、好きなものを食べることができて身体を動かすことが出来る

運動不足過食などの生活習慣は、その積み重ねの中で次第に近づいて行きます。生活習慣を改善できれば、生活習慣病に続く脳卒中や心筋梗塞などの発症を未然に防ぐことができます。

未病の症状は氷山の一角にすぎません!

メタボリックシンドロームを例に説明します。

高脂血症・高血糖・高血圧などは別々に進行している訳ではありません。

「一つの氷山」から水面上に出ている一角の症状なのです。

個々の薬で氷山の一角を削っても改善されません!

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運動や食生活で氷山全体を縮小(メタボ)しなければ症状は改善されなです!

▼未病第二段階

①何らかの病気になり、手術や薬剤投与により回復傾向にあるが運動や食事が不自由

②定期的に医師から薬を処方されており、運動や食事が不自由な方

生活習慣病の原因は慢性炎症

「肥満・糖尿病・動脈硬化性疾患」に共通する病態として、非常に低レベルの慢性炎症が注目されています。

炎症状態の持続が「動脈硬化症・糖尿病」などの生活習慣病の発症の原因になることが分かってきています。

未病とは体内で小規模な炎症がおこる状態!

未病を防ぐアディポネクチンとは

アディポネクチンは、脂肪細胞から分泌されるホルモンのことで、1996 年に大阪大学松澤佑次教授により発見されたました。

このアディポネクチンは”長寿”の方に多い善玉ホルモンで、メタボリックシンンドロームと深い関わりがあります。

抗炎症作用・抗糖尿病作用・抗動脈硬化作用など多くの機能を持ちます。

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肥満・糖尿病・冠動脈疾患の人は血中アディポネクチン濃度が低いです!

アディポネクチンの作用
  1. 糖尿病の予防と改善
  2. 高血圧の予防と改善
  3. 高脂血症の予防と改善
  4. 動脈硬化の予防と改善
  5. メタボリックシンドロームの予防と改善
  6. 癌の予防と改善
  7. 脂肪肝の予防と改善

アディポネクチンの分泌を高めるためには、食生活と運動が重要になります。

アディポネクチンを増やす食品
  • 大豆(豆腐・高野豆腐・納豆・豆乳など)
  • 青魚(アジ・サバ・イワシ・サンマなど)
  • アルコール(ワインならグラス2杯程度)
  • マグネシウム(にがり・ごま・納豆など)
  • コーヒー

アディポネクチンについての詳細はこちらを参考にしてください。

アディポネクチンの数値を測定できる医療機関もあります。ナガヤメディカルクリニック

まとめ

経済産業省によると、公的保険外の”ヘルスケア産業”の市場規模は25年に約33兆円まで拡大するとされています。

未病や予防の分野に参入する製薬企業は増えると予測されます。

未病は、医療機器の進歩により、早期発見できるようになりました。

しかし、病気になってからでは遅いのです。

あくまで未病を防ぐのは私たち自身なのです。

これからは、自覚症状がない時期の未病への対応が求められています。