腸を育てる菌活の主役”酪酸菌”とは

腸内環境を整えて、健康を目指す「腸活」や「菌活」そして「育菌」などという言葉を耳にするようになりました。

一般的に腸内細菌といえば、乳酸菌やビフィズス菌が有名です。

しかし、腸内フローラの解明が進む中、今注目を集めているのが酪酸菌なのです!

そこで、今回は酪酸菌をご紹介します。

酪酸菌とは

酪酸菌は腸に届いた食物繊維を「発酵・分解」して酪酸を作る細菌の総称です。

酪酸は、酪酸菌という腸内細菌が作り出す短鎖脂肪酸の一種です。
短鎖脂肪酸の代表的なものに酪酸の他「酢酸」や「プロピオン酸」があります。

短鎖脂肪酸
油脂を構成する成分のひとつで、数個から数十個の炭素が鎖のように繋がった構造をしている。そのうち炭素の数が6個以下のものが短鎖脂肪酸。酢酸・プロピオン酸・酪酸などが含まれる。

短鎖脂肪酸は、腸内を弱酸性に保ち有害な菌の増殖を抑制します。
また「肥満予防」「腸の炎症予防」「免疫機能の調整」など様々な健康効果があります。

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酪酸を作り出せるのは酪酸菌だけ!乳酸菌やビフィズス菌には作ることができません。

酪酸菌で腸を育てる

酪酸は、腸内フローラを健康な状態をキープすることが分かってきました。

腸内で作られた酪酸は、大腸が正常な働きをするためのエネルギー源として使われます。
大腸の粘膜上皮細胞が必要とするエネルギーの約60~80%は酪酸でまかなわれています。

大腸が正常に機能するには酪酸は重要と言えるのです。

腸内における酪酸の産生が低下すると「乳酸菌」や「ビフィズス菌」などの善玉菌は健康な人と比べて少ないという報告があります。

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酪酸は、大腸の機能である水分・ミネラルを吸収する役割を促進する作用があります。

免疫機能と酪酸

腸内には、体の免疫細胞の70%が存在するといわれています。

酪酸菌が作り出す酪酸は、免疫の過剰な反応を抑える役割がわります。

酪酸は免疫系の異常によって起こる不調を防ぐ可能性があるのです。

1)大腸ガン

大腸ガン・肺ガン・胃ガンは、男女ともに死亡率が高く罹患率も多くなっています。

ガン化した細胞が、大腸壁の中にある血管やリンパ管に入ると、他の臓器に転移を起こすようになります。

酪酸には、この大腸ガンを防ぐ可能性があるといわれています。

 動物を用いた研究などから、酪酸は大腸がんの細胞増殖を阻害したり、がん細胞の細胞死を誘導したりすることがわかっています。さらに他の研究では、腸内細菌のエサとなる食物繊維の多い食事を与えられたマウスでは、発がん物質に曝露した場合の大腸がんの発症リスクが低く、その腸内では酪酸の量が増加していたことも報告されています

参考:National Library of Mediacine

2)インフルエンザ

酪酸を与えられたマウスは、ウイルスに対する防御機能が働き、生存率の低下を防ぎ症状が軽減されたとスイスとオーストラリアの共同研究チームが報告しています。

3)自己免疫疾多(発性硬化症・関節リウマチ)

腸内細菌を遺伝子解析した所、健康な人と比べて酪酸を作り出す酪酸菌が減少していたことが報告されています。

脳と酪酸

神経科学分野の学術雑誌「Neuroscience Letters」に酪酸は脳の治療薬としての大きな可能性を持っていると紹介されています。

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ストレス性疾患である「過敏性腸症候群」も酪酸菌を摂取することで症状が改善されたと報告されています。

長寿と酪酸菌

最近の研究で、健康長寿にも酪酸菌が関係することが明らかになりつつあります。

長寿の方が多い地域では、高齢者の腸内細菌を調べるとこれまで善玉菌として重要視されてきたビフィズス菌以外にも酪酸菌が多く検出されることが分かりました。

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酪酸菌は長寿菌とも呼ばれています!

腸内の酪酸を増やすには

腸内の酪酸を増やすには方法は、結論からいうと

運動」と「食物繊維」です!

この酪酸を作り出すことができるのは酪酸菌だけになります。

そのため酪酸を増やすには、酪酸菌の働きを促し腸内の酪酸菌を増やしていくことが重要になります。

適度な運動習慣は腸の活動を活発にし、酪酸菌の過ごしやすい環境づくりに効果的とされています。

食物繊維には水溶性と不溶性がありますが、腸内細菌のエサになりやすいのは水溶性の食物繊維です!

水溶性食物繊維は「海藻・果物・いも類・豆類・野菜」等に多く含まれます。

食事だけで摂取するのは大変なので”水溶性食物繊維イヌリン”を飲み物に入れたりすると簡単に取ることができます。
ちなみに、私は自家製豆乳ヨーグルトに入れて食べています。

ビフィズス菌は、酵素弱く菌数の維持は難しいです。

しかし、このGBN1で豆乳を発酵させると牛乳で発酵させるより

なんと!約2700倍もビフィズス菌が増えます!

最後に

腸内細菌に関する研究は日々進んでおり、腸に関わる病気だけでなく、様々な全身の病気と関係することがが分かってきています。

日頃から、腸内フローラのバランスを整え、良い腸内環境を保ちましょう!

腸が変われば体が変わる

腸を制すれば健康を制する

菌活で健康を目指しましょう!

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