
私たちは日常の食生活から、有機化学物質や有害金属を摂取しています。
マグロなどの大型魚に凝集される有機水銀や残留農薬のヒ素など、知らないうちに体内に蓄積しています。
環境省や厚生労働省の調査研究においても、水銀は中枢神経系及び末梢神経系に対し有毒であるとの見解を示しています。
また、妊婦が摂取することにより、成長中の胎児に神経発達障害をもたらす場合があると報告されてます。
水銀濃度が比較的高い水産物
特定の水産物を偏食すると有害な水銀の摂りすぎになる可能性があります。
マグロ類(マグロ、カジキ)・サメ類・深海魚類・鯨類(鯨、イルカ)など、メチル水銀濃度が高い水産物を主菜とする料理は週2回以内にすましょう!
サンマ・イワシ・サバなど、メチル水銀濃度が低い水産物を控える必要は特にありません。
どのような食品でも、偏食を避けてバランスよく摂ることが大切です!
マグロ類 | クロマグロ(本マグロ)・ミナミマグロ(インドマグロ)・メバチ(メバチマグロ)・クロカジキ・メカジキ・マカジキなど |
サメ類 | ヨシキリザメ・ドチザメなど |
深海魚類 | キンメダイ・ムツ・ウスメバル・ユメカサゴ・メヌケなど |
鯨 類 | バンドウイルカ・コビレゴンドウ ・マッコウクジラ・ツチクジラ・イシイルカなど |
私たちが平均的に摂取するメチル水銀は、約8割が魚介類や鯨などの水産物の摂食に由来します。
水銀(無機水銀)は天然にも海水に含まれています。
海中のプランクトンによって、有機水銀の一種であるメチル水銀に変換された後、食物連鎖によって海棲生物に移行します。
有機水銀は生物に蓄積しやすい性質があります。
また食物連鎖によって濃縮されるため、海中の食物連鎖の上位にある肉食動物ほど高い傾向があります。
水銀の有害性
水銀は水俣病の原因物質として知られる有害重金属です。
特にメチル水銀などの有機水銀は中枢神経に障害を起こします。
メチル水銀は胎盤を通して胎児に移行しやすいと言われています。
また、胎児は水銀への感受性が高いために、妊婦がメチル水銀を摂取すると胎児の中枢神経系(脳)の発達への影響が懸念されます。
食品安全委員会は、厚生労働省の諮問を受けて2005年8月に妊婦をハイリスク群としています!HIDEOUT
影響は胎児だけでなく、年を重ねるほど蓄積量は増えてゆく傾向があります。
感覚障害や運動失調を発症する場合があります。また、「震・不眠・記憶喪失・神経障害・頭痛・認知・運動機能障害」等の症状が認められたケースもあります。
水銀デトックス
水銀をはじめとする有害金属は、必要な栄養吸収を妨げる影響が大きです。
後に大きな病気のリスクにつながる可能性が高いため、デトックスは欠かせません。
- 金属水銀
排泄経路は「呼気・尿・便・汗・唾液」などありますが、主に無機水銀塩に変換されて便や尿から排泄されると考えられています。 - 無機水銀
主に便と尿から排泄されることが分かっています。
初めは胆汁中へ分泌されるために、便中の水銀量が多い。その後、徐々に腎臓への蓄積量が増えて尿中の水銀量が増加するといわれています。 - メチル水銀
排泄は主に便からですが、一部は毛髪や母乳などを介して行われます。
メチル水銀は体内に溜まりやすい物質ですが、体から出ないわけではありません。肝臓から胆汁と一緒に腸内に排泄されたり、尿中に少しずつ排泄されます。HIDEOUT
魚介類に含まれるセレンは水銀の毒性を弱める作用を持っていることが実験的に知られています。
しかし、セレンの作用によって水銀が完全に無毒化されるわけではありません。
解毒を促す栄養素
一般的に、水銀の毒性は細胞の「酸化的障害」や「生理活性物質」のチオール基※1をブロックすることによる障害が考えられています。
※1チオール (thiol) は水素化された硫黄を末端に持つ有機化合物
・ビタミンC
… アセロラ・ケール・パセリ・ピーマン・ブロッコリー
・ビタミンE
… せん茶・アーモンド・小麦胚芽・抹茶・あゆ
・セレン
… かつお節・イワシ・タラコ・ネギ・全粒粉
これらの、抗酸化物質が有効とされています。
また、水銀の毒性を弱めて排泄を促すチオール基を含む
・α-リポ酸
… レバー・ほうれん草・にんじん(食品に含まれる量は僅か)
・グルタチオン
… レバー・牡蠣・アボカド・トマト・小麦胚芽
・L- システイン
… レバー・卵・カツオ・ニンニク・ブロッコリー
・L-メチオニン
… 卵・かつお節・イワシ・チーズ・肉類・豆類
メタロチオネインの合成に必要な
・亜鉛
… 牡蠣・レバー・牛肉・小麦胚芽・卵
胆汁酸を吸着して排泄する
・水溶性食物繊維
… エシャロット・ごぼう・ニンニク・こんにゃく・アボカド・納豆
腸内環境を整える
・乳酸菌
… ぬか漬け・ヨーグルト・キムチ
これらの、栄養素の摂取がお勧めになります。
最後に
生魚、海藻類を日常的に食べる私達の食生活は「有害ミネラル」と背中合わせです。
しかし、それらを全く摂らない食生活は難しく、食事バランスが偏ってしまう危険もあります。
まずは「解毒を意識する」ことから始めましょう!
◎あわせて読みたい参考記事